原発性無月経
原発性無月経は満18歳になっても初経が起こらない場合をいいます。
日本人の平均初経年齢はだいたい12歳です。
14歳までに98%が初経を経験すると言われています。
定義上は18歳となっていますが、多くの方がだいたい15歳くらいになって初経がないと、母親と一緒に産婦人科を訪れますね。
原発性無月経の原因は?
元々月経があって、何らかの理由で無月経となる続発性無月経の原因も原発性無月経の原因に含まれます(高プロラクチン血症など)。
しかし、原発性無月経の原因で特徴的なのは染色体異常や性分化異常などが含まれることです。
原発性無月経の原因は非常に沢山ありますので一部を紹介します。
(染色体上の性別は一般に女性は46XX、男性は46XYと表現されます)
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Turner症候群(ターナー症候群)
45XO、つまりX染色体が1本少ないタイプの染色体異常です。
女性の2500人に一人の発生頻度といわれます。
低身長となるので、小児期に発見されることも多いですが無月経で初めて診断されることもあります。 何らかの治療が行われないと平均身長で20センチ以上の差が出ると言われています。 性腺(卵巣)の発育不良により生後数ヶ月から数年後に卵巣機能が停止します。 初経前に卵巣機能が停止すると原発性無月経となり、ある程度年齢がいってから卵巣機能が停止すると早発閉経となります。
精巣性女性化症候群
アンドロゲン(男性ホルモン)レセプター異常による一種のアンドロゲン不応症です。
レセプターというものは細胞の表面にあるホルモンの受け皿のような構造です。 このレセプターにホルモンがぴたっとくっつくことで様々な仕組みが動き始めます(ホルモンが作用する)。
精巣性女性化症候群では染色体上は46XYで男性型で、ちゃんと精巣からテストステロンというホルモンが分泌されています。 ところが、体の中のアンドロゲンレセプターに異常があるので、男性ホルモンがうまく作用しません。 その結果、生殖器が男性型へ発達することが出来なくなります。
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つまり外見上は女性ですが、もともとは男性で子宮が存在しないので無月経となります。 知らないとびっくりされる方も多いですが、外性器などはアンドロゲンの作用がないとすべて女性型になるんです。 女性として育てられ思春期になる頃に元々は男性であるということが診断されるのでその後の精神的なサポートも重要です。
副腎性器症候群
腎臓の横でホルモンを作り出す副腎という大切な臓器があります。
副腎でアンドロゲンをはじめとするステロイドホルモンが合成されています。 合成に関わる酵素の異常でアンドロゲンが過剰に産生され女性の男性化がおこります。
このような疾患群を副腎性器症候群といいます。
その代表的な疾患は先天性副腎皮質過形成です。
染色体上は46XXで女性型なんですが、アンドロゲンの作用で外性器が男性化しているので出生直後に発見されることが多いです。 男性化といっても男性のようにペニスがあり陰嚢があるわけではなく、陰核肥大といって陰核がペニスのように大きくなっています。 排卵障害があり無月経となります。
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見せかけの無月経
子宮や卵巣などは全く正常で月経現象もちゃんとあるにもかかわらず、出口がなくて無月経となる場合です。 外性器の形成異常で処女膜閉鎖症、膣閉鎖、膣欠損、膣中隔症(膣横中隔)などがあります。 初経後に月経血の排泄障害をおこし、周期的な腹痛を発症します。
これを月経モリミナといいます。 長期間放置されると月経血が子宮や膣に大量に貯留し、それらを過伸展・変形させ、後に不妊症の原因となります。
原発性無月経の診断は?
系統だった診断を行う必要があります。
まず基本となるのは問診と全身の診察です。
家族歴(姉妹で同じような症状はないかなど)、既往歴(小児期の手術歴など)の確認は大切です。
基礎体温の測定と各種ホルモンの検査を行います。(LH、FSH、エストロゲン、プロゲステロン、プロラクチン、テストステロンなど) 全身の診察では2次性徴出現や特徴的な体型のチェックなどはTurner症候群では特に重要です。
次に外性器のチェックを行います。
性交経験がなく、産婦人科受診が初めてという場合も多いので初診時には内診は行わないこともあります。
外性器の診察で男性型であれば副腎性器症候群が疑われます。
外性器が女性型でも膣が存在しないと処女膜閉鎖、膣欠損、膣閉鎖などが原因として考えられます。
外性器が女性型で膣もある場合は染色体検査も考慮します。
染色体検査が45XOであれば、Turner症候群となります。
一見女性でも染色体検査が46XYなら、精巣性女性化症候群や性腺形成不全などが考えられます。
染色体検査が46XXの正常であれば、続発性無月経の診断に準じて原因検索を行います。
原発性無月経の治療は?
原因が判明すればそれぞれに準じた治療となります。
膣閉鎖などは外科的な手術をを検討します。
性腺形成不全や精巣性女性化症候群などは3割くらいの頻度で性腺の悪性腫瘍が発生すると言われていますので、外科的に早期に切除が行われることが多いです。
精巣性女性化症候群では染色体検査は46XYで男性です。 しかし、完全型では外性器をふくめ外見は女性なので、精巣を摘出してそれまで通り女性として育てられ生きてゆくことになります。
Turner症候群でも少数では自然排卵や月経を認めることもありますが、一般に無月経でありホルモン補充目的でカウフマン療法が行われます。
これらの明らかな原因がない原発性無月経の場合はエストロゲンテストやプロゲステロンテストを行い無月経の程度を確認します。 挙児希望がなければ一般的にはカウフマン療法が行われ、挙児希望がある場合は積極的にクロミッドなどの排卵誘発剤が使用されます。
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